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【Point 5】 プロが勧める、部屋をきれいにする方法
政井:空気の中には目に見えない汚染物質があることが分かりましたが、どうすれば住環境から除去できるのでしょうか?
川上:カビもバクテリアも生き物ですから水分が無いと生きられません。発生原因となる結露をどう取り除くか一番重要。そのため、換気がとても大切です。また、ハウスダストの中にはたくさんの物質がいて、それが舞い上がるのでダイソンのような高性能な掃除機で吸い取り、排気を出さないことも重要なのですね。
政井:どのくらいの頻度で、掃除をすればいいんでしょうか?
川上:毎日適当に行うより週に一度、きちんとすることが大事ですね。さらに私はここ数年、年末の大掃除ではなく秋掃除をお勧めしています。
政井:大掃除はたいてい年末にしますけれども、秋の大掃除でしょうか?
川上:年末は忙しい人が多いので、現代の生活スタイルには不都合が多いです。10、11月のほうがそれほど寒くないので換気もしやすく、カーペットやカーテンなども大きな物も乾きます。また夏を過ぎて吹きだまったカビやハウスダストをこの時期に取り除くのが良いのです。そうすれば、室内がきれいな状態で風邪やインフルエンザが流行する冬を迎えられます。
森田:冬になるとウイルスが活発化するので、ウイルスやPM2.5を吸い込むとさまざまな呼吸器疾患につながる可能性があります。それには頻繁な換気や小まめな掃除はもちろん、細かい粒子を除去してくれる高性能な空気清浄機も大切な役割を担います。私は患者さんにもよく言っているんですよ。「空気をきれいにすると、さまざまな病気の予防につながるんです」と。
政井:畳やフローリング、カーペットなどいろんな住環境があると思いますが、それによって、掃除に違いはありますか?
川上:昔は、畳の上にカーペットを敷いている家が多く、畳から発生するダニやカビの上にカーペットを敷いていて、かなり良くない環境だったんです。最近のお宅はフローリングが多いと思いますが床に物が置いてあって、掃除ができていないところにハウスダストが溜まっている。見てみないふりをしていると、そこからハウスダストがたくさん舞い上がるといった状況がけっこうありますね。だから、きちんとハウスダストを除去してまずは元を断つことが大切ですね。しかもダイソンの掃除機のような、排気が出ないものが最適です。それで掃除をしたうえで、まだ汚れている空気は空気清浄機できれいにすることが大切です。
加えて、みなさん意外とツールを使いこなしていないですが、たとえば本であればソフトなブラシが付いたツールで、本を傷つけないように吸い取り、よく晴れた日に干してその後また吸い取る掃除がお勧めです。その際、本棚の裏側にたまったハウスダストも取り除くことも忘れないでください。
森田:過敏性肺炎の重症患者の中には、部屋を徹底的に掃除し古本も捨てた。それでも治らず引っ越しをしてやっと治ったという方もいらっしゃいます。そうなる前に、とにかく空気をきれいに保つことが大事だと、私も思います。