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「ダニダスト」のリスクが最大化する今の季節。専門家が解説する正しい対策とは?ペットへの影響も。
2025年9月19日
暑かった夏もピークを過ぎ、日の入りも早まってきた初秋のこの時期。
しっかり寝たはずが、寝た気がしない、といった睡眠の質の低下や、ベッドメイキングの際にホコリっぽさを感じることはありませんか?
その要因の一つと考えられているのが、ダニの死骸やフン、いわゆるダニダストです。
これらはアレル物質となる可能性があり、ヒトだけでなく、ペットのアレルギーも引き起こす可能性があるとされており、ペットオーナーの関心も高まっています。
今回はこの時期に最大化するダニダストについて、専門家による健康リスクの解説と、その正しい対策方法について紹介します。
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専門家が指摘するダニダストリスク
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解説:
NPO東京アレルギー・呼吸器疾患研究所 環境アレルゲン研究班班長白井秀治氏
家庭内のダニ対策・環境整備に取り組むアレルギー対策のエキスパート。
ダニ、花粉やペットによるアレルギー対策に関する講演や、テレビや雑誌などの監修も多数。またアレルギーに関わる医師とともに研究を行い学会発表なども積極的に行っている。
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夏が終わり秋に向かう9月は、室内に「ダニダスト」が多くなってきます。
一般的に寝具やソファに潜むダニは梅雨~夏にかけて繁殖し、数を増やすため、ホコリの中にダニのフンが溜まっていきます。そして多くのダニの寿命は数か月程度であり、繁殖を終えたダニは秋に寿命を迎えるため、秋口にダニの死骸が増えていきます。
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実はダニによる健康リスクの主要な要因は、生きているダニだけではなく、この死骸やフンも重要であるとされています。
これらのダニダストは砕け微細な粒子となり、寝返りやベッドメイクの際に、ホコリとして空気中に舞い上がることがあります。そしてそれを呼吸を通して吸い込むことで、ダニアレルギーの原因となることがあるのです。
ダニダスト対策が必要かな?と感じた際は、「ダニが潜みやすい場所」や「掃除をした方がいいタイミングのサイン」をまとめたセルフチェックリストを参照してみてください。
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天日干しだけでは不十分?
家でダニ対策を行う場合、長時間滞在する部屋や接触時間が長いインテリアが対象になります。主に寝室、特に多く接触する寝具はダニの餌となるフケや垢などが存在し、ダニの温床になりやすいため対策が必須です。また、布製ソファで過ごすことが多い場合も寝具同様に対策が大切です。
さらに、敷き布団やマットレスはもちろん、収納していた毛布や掛け布団にはダニが増殖し、「ダニダスト」が多く溜まっていることがあります。寝具に溜まった「ダニダスト」は、寝返りやベッドメイクの際に空気中に舞い上がり、部屋中に広がるだけでなく、呼吸を通して吸い込む可能性があります。そのため、ダニダスト対策としては、ダニの死滅とともに、寝具からフンや死骸を除去することが大切です。
寝具のケアとして多くの方が行う天日干しは、寝具を乾燥させ、ダニが繁殖しにくい状態になると考えられるため、頻回に行いたいことです。しかし、ダニ退治(ダニを死滅させる)の効果はあまり期待できません。
寝具から「ダニダスト」を除去するための効果的な方法としては、掃除機がけ、丸洗いなどがあります。特に掃除機がけは、手軽に行うことができるため、効果的なダニダスト対策になり得ます。寝具に掃除機がけを繰り返し行うことは、「ダニダスト」を吸い取り、除去することに役立ちます。さらには、ダニの餌となる人のフケや垢といったホコリも減らすことで、ダニが増えにくい状態を作ることも期待されます。
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ペットにもヒト同様のダニ対策を
近年の日本では、ペットとしてネコやイヌなどの飼育頭数が増加傾向にあり、その数は15歳未満の小児の数を上回っています。室内でペットを飼育すると、ヒト同様にダニのフンや死骸などを含むホコリに晒されることがあります。
特にダニが繁殖して増加している可能性があるヒトの布団やインテリア用品の上で、ペットが過ごす時間が長い場合、ダニのフンや死骸を含むホコリにペットが晒され、ダニに対するアレルギーを獲得してしまうことも考えられます。そのため大切な家族であるペットの生活環境からも、ダニ対策を行うことが大切と考えられます。
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意識調査で見えてきた実態
専門家によってダニダスト対策の重要性が指摘されてきた一方で、ダイソン株式会社が2025年に実施したダニダスト対策に関する意識調査によると、ダニ対策を意識した掃除の必要性を感じている人は全体の半数以下に留まり、必要性を感じている人でも実際に対策を講じている人は約3割に留まるといった結果が得られました。
日々の掃除で気になる床の上のホコリとは異なり、ダニダストという目に見えない存在に対する対策意識は比較的低く、忙しい毎日における掃除の優先順位は高くないことがうかがえます。
ペットのダニアレルギーへの認知に関しても調査したところ、約6割のペットオーナーがダニダスト対策をしないことでペット自身もダニアレルギーを引き起こす原因となることを「知らない」と回答しました。
直接ペットに寄生するマダニへの対策を講じているペットオーナーは多いですが、ダニダストの影響については認知が広まっていないことが現状です。ペットの健康のためにも、これから迎える秋の「ダニダスト」が与える影響とそのリスクについて理解し、寝具やソファ、カーペットに潜むダニの死骸・フンをこまめに対策する必要があります。
専門家監修・効果的なダニダスト対策の3ステップ
ダニによる健康リスクの主な原因は、「生きたダニ」ではなく「死骸やフン」などのアレル物質です。正しいダニ対策は”死滅”させるだけでなく、その場からしっかりと”除去”し、その後も繁殖させないためのケアも含めた対処が重要です。
今回は、専門家監修のもと、効果的なダニ対策を“3ステップ”で解説します。尚、理想は毎回ダニを熱で死滅させた上で除去することですが、難しい場合は、掃除機がけによって、ダニのエサを定期的に取り除くことで、繁殖を防ぐ対策も十分有用です。
①高温を当ててダニを“死滅”させる
ダニ対策の一歩目として、活動しているダニを“死滅”させるためには55℃以上の高温を30分以上かけることが有効とされています。実施している方も多い「天日干し」だけでは、内部まで高温にならず、ダニの死滅には不十分となるケースも。
できるだけ布団乾燥機や家庭用乾燥機を使用し、特に寝具やカーペットなど、ダニが潜みやすい素材は重点的に熱風を当てるのがおすすめです。
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②ダニの死骸・フンを吸引力の高い掃除機などで“除去”する
マットレスやソファ・絨毯等に潜んでいたダニを“死滅”させた後は、「死骸やフン」が蓄積された状態に。ダニによる健康リスクの主な原因となるこれらの「ダニダスト」は、掃除機での丁寧な吸引ですみずみまでしっかりと“除去”することがマスト。“どんな掃除機を使うか”も大きなポイントです。
<掃除機選びのチェックポイント>
☑ 布団やシーツの裏側・隙間にも届くハンディタイプ
☑ マットレスの中のダニダストもしっかり除去する高い吸引力
☑ 吸い込んだ「ダニダスト」を漏らさない高性能フィルター -
③“週に複数回”の掃除機がけでアフターケアがおすすめ
ダニ対策は1回で終わりではなく、継続がカギになります。秋の「ダニダスト」を掃除できた後も、冬にかけて暖房で室温・湿度が高まりダニが繁殖しやすくなる環境になるため、継続的な掃除機がけを心掛けることが重要です。
これからの時期を快適に過ごすために、最適な掃除機で定期的な掃除を。今から、ダニダストへの対策を始めましょう。