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【Point 3】 カビが原因で肺炎になることも
政井:今年の夏、大きく取り上げられた過敏性肺炎について教えてください。
森田先生: (以下:森田) カビの一種、トリコスポロンが原因で起こることが多い肺炎です。カビを吸い込むと、気管支ぜんそくやアレルギーを起こすことは知られており、ひどくなると肺炎になって命を落とすこともあるのです。カビで命を落とすこともあるとは、本当に怖いですね。過敏性肺炎は原因が家の中のカビであることが多いので、お年寄りだけでなく家の中にいる時間の長い主婦の方やお子さんにも発症しているのですよ。
政井:子どもはよく、床に長時間這いつくばって遊んでいたりするので、ゾッとするお話ですが。この肺炎は、普通の肺炎と違う特徴があるんですか?
森田:室内のカビが原因ですから、家の中にいると咳き込む。たとえば3日以上の少し長めの旅行に出てカビがいない環境なると咳が収まる。また家に帰ってくると、咳が出る。これを繰り返すことが多いのですね。これは実際に、過敏性肺炎になった患者さんのレントゲン写真です。
過敏性肺炎になった70代女性のレントゲン
政井:このレントゲンをみると、医師の方は過敏性肺炎と識別ができるんですか?
森田:当初、これを見た主治医は、通常の細菌による肺炎を疑い抗生物質を投与します。でも一向に良くならない。それで患者さんに詳しく話を聞いたところ、「家にいると症状が出て、外出すると咳が楽になる」という状況がわかり、過敏性肺炎が疑われました。この70代女性の患者さんの自宅に主治医らが調査に行ったところ、台所や布団がカビだらけでした。
政井:いかに室内の環境が大事か分かります。まさにハウスダストやカビが命にかかわることもあるという症例ですね。