James Dyson Award 2021 国内最優秀賞が決定|Dyson ニュース|ダイソン

James Dyson Award 2021 国内最優秀賞が決定

会話を瞬時に字幕表示し、聴覚障害者との豊かなコミュニケーションを実現するシステム 「See-Through Captions」
2021.8.25

JAMES DYSON AWARDとは
JAMES DYSON AWARDは、次世代のデザインエンジニアを称え、育成、支援するための国際エンジニアリングアワードです。対象者は、デザインやエンジニアリングを学ぶ学生や卒業後4年以内の若手エンジニアやデザイナーです。このアワードは、デザインエンジニアリングの必要性を伝え、次世代のエンジニア育成を目的に活動をする、ジェームズダイソン財団が運営しています。

James Dyson Award 2021 国内最優秀賞
James Dyson Awards 2021の国内最優秀賞は、ろう・難聴者が聴者とより豊かなコミュニケーションを行うために開発された、透明ディスプレイ上にリアルタイムに字幕を表示するシステム、See-Through Captionsが受賞しました。

開発チーム
See-Through Captionsの開発には、筑波大学、筑波大学大学院から、鈴木 一平さん、山本 健太さん、設楽 明寿さん、百田 涼佑さん、飯嶋 稜さんが携わりました。開発チームには、耳が聴こえないメンバーがおり、研究活動を行う中で、彼とのコミュニケーションをいかに充実させるか、ということが常日頃の重要な課題でした。

問題
ろう・難聴者の音声情報へのアクセシビリティ向上は重要な社会課題の1つであり、音声認識を使ったリアルタイムの文字起こしは、声を聞き取りづらい人の日常生活を支援する重要なツールとなりつつあります。しかし、認識結果の確認のために目線が画面に釘付けとなり、相手の表情・ボディランゲージを見落としてしまうという問題がありました。

耳が聴こえないメンバーと研究活動に取り組むチームが新型コロナウイルスの影響でゼミをオンラインで実施することなったことをきっかけに、オンラインゼミで活用できる音声字幕化システムを開発したことが出発点にあります。

See-Through Captions を用いることで、ろう・難聴者は相手の表情や仕草を見ながら字幕を読めるようになり、既存の字幕表示手法では欠落していた身体情報も活用しながら聴者と会話することが可能となります。

受賞者のコメント
私たちの開発チームには、耳が聴こえないメンバーがいます。研究活動を行う中で、彼とのコミュニケーションをいかに充実させるか、ということは我々にとって日常の重要な課題でした。 JDAの募集課題には、”シンプルな工学原理を採用し、明確な問題の解決に取り組むデザイン”とあり、これは、私たちのプロジェクトとも大きく共通する点です。私たちの大きな目標は、”耳が聞こえない方々の生活をより豊かにするシステムの実現”です。そのためにも引き続き超えるべき課題解決に向け、より様々な環境での実証実験に取り組みながらより良いシステムの実現に向けて改良を重ねていきたいと考えています。

James Dyson Award 2021 国内準優秀賞
James Dyson Awards 2021の国内準優秀賞には、従来であればレントゲンなどの病院備え付けの装置でしか測定できなかった背骨の形状を把握することで、人々の姿勢を美しい姿勢に変貌させる「美姿勢メガネ」が選ばれました。

問題
近年の世界的かつ急速な情報端末の普及により、それを使用する人々の悪い姿勢や、それに伴う肩こりや腰痛が社会経済的に大きな損失を生んでいます。

解決策
背骨形状を把握することで、人々の姿勢を美しい姿勢へ変貌させる「美姿勢メガネ」には、加速度センサとToFが搭載されており、頭部傾斜角と視距離を測定します。この2つの値だけで、背骨の形状、医学的に重要とされている脊椎の角度を極めて高い精度で背骨の形状を推定することができます。このメガネを用いて、予防医学の観点から、人々の姿勢を矯正し、背骨の健康を支えたいと考えています。

James Dyson Award 2021 国内準優秀賞
James Dyson Awards 2021の国内準優秀賞には、試合状況に応じて瞬間的にロボットの自動化レベルを調節し、リモートスポーツを実現させるシステム、「Behind the game」が選ばれました。

問題
物理的に行うスポーツは、私たちの日常生活において重要な役割を果たしていますが、それを遠隔で行うのは困難な場合があります。遠隔によるタイムラグは、遠隔地のプレイヤーの反応速度と行動の正確さを低下させ、プレイヤーが自身でゲームをプレイしているという主観的な体験を損なわせてしまいます。

解決策
ユーザーの運動を予測し、先んじてロボットが行動することで遅延を解消するなど遠隔でのパフォーマンス向上とプレイヤーの良好な体験の提供を両立させるシステムを開発しました。エアホッケーでの検証後に卓球など、同様のコンセプトを応用可能なスポーツへ展開し、新しいリモートスポーツの文化の創出につなげたいと考えています。‎