James Dyson Award 2021 国内最優秀賞
James Dyson Awards 2021の国内最優秀賞は、ろう・難聴者が聴者とより豊かなコミュニケーションを行うために開発された、透明ディスプレイ上にリアルタイムに字幕を表示するシステム、See-Through Captionsが受賞しました。
開発チーム
See-Through Captionsの開発には、筑波大学、筑波大学大学院から、鈴木 一平さん、山本 健太さん、設楽 明寿さん、百田 涼佑さん、飯嶋 稜さんが携わりました。開発チームには、耳が聴こえないメンバーがおり、研究活動を行う中で、彼とのコミュニケーションをいかに充実させるか、ということが常日頃の重要な課題でした。
問題
ろう・難聴者の音声情報へのアクセシビリティ向上は重要な社会課題の1つであり、音声認識を使ったリアルタイムの文字起こしは、声を聞き取りづらい人の日常生活を支援する重要なツールとなりつつあります。しかし、認識結果の確認のために目線が画面に釘付けとなり、相手の表情・ボディランゲージを見落としてしまうという問題がありました。
耳が聴こえないメンバーと研究活動に取り組むチームが新型コロナウイルスの影響でゼミをオンラインで実施することなったことをきっかけに、オンラインゼミで活用できる音声字幕化システムを開発したことが出発点にあります。
See-Through Captions を用いることで、ろう・難聴者は相手の表情や仕草を見ながら字幕を読めるようになり、既存の字幕表示手法では欠落していた身体情報も活用しながら聴者と会話することが可能となります。
受賞者のコメント
私たちの開発チームには、耳が聴こえないメンバーがいます。研究活動を行う中で、彼とのコミュニケーションをいかに充実させるか、ということは我々にとって日常の重要な課題でした。 JDAの募集課題には、”シンプルな工学原理を採用し、明確な問題の解決に取り組むデザイン”とあり、これは、私たちのプロジェクトとも大きく共通する点です。私たちの大きな目標は、”耳が聞こえない方々の生活をより豊かにするシステムの実現”です。そのためにも引き続き超えるべき課題解決に向け、より様々な環境での実証実験に取り組みながらより良いシステムの実現に向けて改良を重ねていきたいと考えています。