ダイソンが次世代のエンジニア育成を目的に設立したジェームズ ダイソン財団(以下、JDF)は、
2016年5月9日に、英国ケンブリッジ大学の最も優秀な工学研究者たちに世界最先端レベルの
開発研究棟を開設しました。この開発研究棟は、発明やプロトタイプの試作品製作など、最先端
の研究を共同で進める場と手段を提供します。当財団が同大学工学部へ2014年に寄付した800
万ポンド(約14.4億円*)の建設資金は、長きにわたりヨーロッパで最も成功を収めているケンブ
リッジ大学工学部への寄付金としては史上最高額になります。
* 1ポンド180円で計算、以下同じ。
ダイソン エンジニアリング デザインセンター(Dyson Center for Engineering Design) は、ケンブリッ
ジ大学の学生を対象とした、特殊印刷機器、スキャナー、レーザー、ルーター関連の設計プロセス
の指導拠点です。同センターでは、1,200名を超える優秀なエンジニアがプロジェクトに従事でき
る十分なスペースを確保し、仕切りのないオープンプラン設計は、アイディアの共有ならびにコラボ
レーション環境を促進します。この研究所内で行われる学生主導のプロジェクトには、太陽光発電
の電気レーシングカー、極地用の氷上走行車両、クアッドロータードローン、ヘリウム気球による宇
宙飛行システムなどが予定されています。
別棟の新しい4階建てジェームズ ダイソン エンジニアリング ビル(James Dyson Building for
Engineering) は、大学院生の研究者用に建てられた、先端材料、スマートインフラ、電気自動車、
高効率内燃機関といった分野での世界最先端の研究をサポートします。世界最高クラスの流体
力学装置、空気力学装置、空力音響解析のためのエリア等を備えた各種試験室とは連絡通路で
つながっており、行き来することができます。
このビル建築では、研究に従事する人たちに劣らずスマートな機能が採用されています。基礎杭
に組み込まれた光ファイバーセンサーは、温度から建物の歪みまで多様な項目についてライブ
データを収集し、建物の状況把握を可能にします。言わばこのビルは、ただの建物ではなく、生き
物のような建造物なのです。
ケンブリッジ大学工学部は、欧州最大の技術クラスターであるケンブリッジ・クラスターの中心に
位置しています。ケンブリッジ・クラスターでは、1,500を超える技術関連企業で約57,000人が働
いており、その年間収入の合計は130億ポンド(約2.3兆円)以上にのぼります。ケンブリッジから
は、過去10年間で1,500社以上のスピンアウト企業が生まれており、その5年存続率は、全国平
均の44.6%を大きく上回る97.4%となっています。